杉家の女たち

杉家の女たち page 14/18

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「どうしたのよ、気に入らないの? やっぱりあなた、ほかに好きな人がいるんじゃないの? ひょっとして、伊藤とか山県とか」「ま....

「どうしたのよ、気に入らないの? やっぱりあなた、ほかに好きな人がいるんじゃないの? ひょっとして、伊藤とか山県とか」「まさか」文は、調子のいい伊藤利助(博文)とむっつりした山県小助(有朋)だけは、いくら兄の命でもお断りしたかった。◇ ● □それから2週間ほどして、寿が予想していたとおりのことが起こった。寅次郎(松陰)が文を呼んで、こう宣告したのである。「文、お前も年頃じゃ。いい結婚相手がないか探しておったんだが、ようやく決まった。うちの塾生でな、お前もよく知っている人物じゃ」「それは?」「それはじゃな」文は目をつぶった。頭の中を何人かの塾生の名前が駆け巡った。しばしの沈黙が過ぎたあと、「久坂玄瑞だ」110