戦国の女

戦国の女 page 19/22

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19武田氏彼女の実家三条家は、清せ い華が家の一つで父・三条公き ん頼よりは左大臣を務める名門であった。姉は室町幕府管領・細川晴は る元もとの妻、妹の如に ょ春しゅん尼には本願寺第十一世・顕け ん如にょに嫁....

19武田氏彼女の実家三条家は、清せ い華が家の一つで父・三条公き ん頼よりは左大臣を務める名門であった。姉は室町幕府管領・細川晴は る元もとの妻、妹の如に ょ春しゅん尼には本願寺第十一世・顕け ん如にょに嫁いでいる。もっとも、当時の公家は荘園からの収入が途絶え、経済的には困窮していた。そのため、武家の経済的支援は魅力であり、武家は武家で、公家と姻戚関係を持つことで、周りの信頼と尊敬を集めることができた。三条夫人と信玄の婚姻も、そんな両者の利害一致によるものだったのだろう。なお、この縁談を仲介したのは、駿河の今川義元であった。この年、相模の北条氏綱と連携して武田氏と対立してきた今川氏う じ輝てるが死去。家督争い( 花は な倉くらの乱) を経て義元が今川氏の当主になると、信玄は今川氏と和睦した。その証として、公家出身の母・寿じ ゅ桂けい尼に( 中な か御み門かど宣のぶ胤たね娘) を持つ義元が信玄のために一肌脱いだのであろう。さて、京都の深窓に育った、まだ十六歳の三条夫人にとって、多くの付き人に従われていたとはいえ、遠く甲斐への輿入れはさぞかし心細いものであったろう。二千メートル級の山々に囲まれた甲府の光景は、穏やかな京の地形を見慣れた彼女の目には、荒涼・索さ く漠ばくとしたものに映ったに違いない。しかし、幸いなことに彼女と夫・信玄の相性はよかったようだ。二人は文芸の趣味を同じくしたといわれる。のちに信玄の師となる快か い川せん和お尚しょうは、三条夫人のことを「大変美しく、陽の光のよ