戦国の女

戦国の女 page 14/22

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14信濃への侵攻を開始、また、山やまの内うち・扇おうぎが谷やつ両上杉氏と連携して、相模の戦国大名・北ほ う条じょう氏との戦いを繰り返した。両上杉氏も北条氏と対立しており、享きょう禄ろく元年(一五三〇)、....

14信濃への侵攻を開始、また、山やまの内うち・扇おうぎが谷やつ両上杉氏と連携して、相模の戦国大名・北ほ う条じょう氏との戦いを繰り返した。両上杉氏も北条氏と対立しており、享きょう禄ろく元年(一五三〇)、信虎は山内上杉氏との同盟を強化するため、前関東管か ん領れい・上杉憲の り房ふさ の後こ う室しつを側そ く室しつに迎えている。大井の方にしてみれば、格上の家柄の側室は、さぞ目め障ざわりな存在だっただろう。時は流れて天文十年(一五四一)、あろうことか信虎は、二十一歳の嫡男・信玄によって甲斐から追放されてしまう。もっとも、戦国時代において父と子の争いはそれほど珍しいことではなかった。古こ河が公く方ぼう足利氏、東北の伊だ達て氏、美濃の斎藤氏などでも似たようなことが起こっている。信虎追放の理由については、諸説あって判然としない。父子の感情のもつれというより、家臣団を巻き込んだ派閥争いが原因だったのかもしれない。当時、武田氏は駿河の戦国大名・今川氏と同盟関係( 甲こ う駿すん同盟) にあり、信虎と大井の方の長女・定恵院が今川氏当主・今川義よ し元もとに嫁いでいた。信虎が娘に会いに駿河へ向かったすきに、信玄は国境を封鎖してしまったのだった。夫と息子の衝突に、大井の方は、心を痛い ために違いない。信虎は、今川義元の元で隠居することになったが、大井の方は信虎には従わず、甲斐に残り仏門に入った。側室の中には駿河へ赴おもむいた者もいたというから、正室の彼女が同行しなかったのは、信虎との関係が