真田幸村時代のおもしろばなし百話

真田幸村時代のおもしろばなし百話 page 21/26

電子ブックを開く

このページは 真田幸村時代のおもしろばなし百話 の電子ブックに掲載されている21ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
21一 真田の一族曽義昌の謀反はまことに意外なことである。まことに許しがたい所業である。また、木曽口よりの織田軍の侵入も信長の野心をむき出したものであり、黙って見ておれない。我が国と貴国とは同盟関係にあ....

21一 真田の一族曽義昌の謀反はまことに意外なことである。まことに許しがたい所業である。また、木曽口よりの織田軍の侵入も信長の野心をむき出したものであり、黙って見ておれない。我が国と貴国とは同盟関係にある故、何時なりとも援助を差し向けるつもりである。至急、具体的な御指示を賜るようお願い申しあげる』という誠意ある書状であった。勝頼はその書状を読んでいささか明るい顔をした。上杉に頼れば、何とかしてこの危機を脱することができるかも分からない。彼はその書状を諸将に回覧した。ほとんどの諸将の顔色には変化がなく、書状は回されていく。「上杉殿に返事を出したいが、それについて意見はないか。」勝頼が云った。真田昌幸がまず発言した。「木曽口、伊奈口、駿河口と三方より敵が入ってきた場合、敵を防ぎとめるには新府城は未だ不完全でございます。この際思い切って、お館様をはじめとして一族衆はひとまず上州吾妻城へお越しになり、上杉氏と手を握り再挙を計られたら如何でございましょうや。上杉殿に北信濃から中信濃に出兵を促し、この地を固めて貰うのもこの際止む無き事情と思われます。」 思い切った云い方であった。長坂長ちょう閑かん斎さいと跡部勝資が同時に何か云おうとした。まず、長閉斉が発言した。「武田の統領ともあろうお方が上州に逃げるとは国を捨てたのも同然ではないか。また新府城では敵は支えられぬと申されたがその城を築き上げられたのはどこのどなたであろうぞ。安房守殿(昌幸のこと)、少々口が過ぎはしないかな。」これに続いて跡部勝資が発言した。「そのとおりだ。また高たか遠とお城じょうが敵を支えている。こんな時に主家が逃げ出したら、それこそ高遠城も自真田家三代