恋する幸村 page 7/24

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は思えなかった。「そなた、年はいくつになりました？」「数えの16にございます」「そうかぁ、番ば ん茶ちゃも出で花ばなではないですか。いつ嫁に行って....

は思えなかった。「そなた、年はいくつになりました？」「数えの16にございます」「そうかぁ、番ば ん茶ちゃも出で花ばなではないですか。いつ嫁に行ってもいい年です」「そんな、まだまだ未熟者ですゆえ」「実は、そなたに縁談があるのです」「えっ」意外な話の展開に、さくらは思わず口を詰まらせた。「驚かずともよろしい、悪い話ではありませぬ。そなた、私が甲か斐い（山梨県）の武家・武たけ田だ氏の出であることを御存じか？」「いえ」さくらはそのことを初めて聞いたし、そもそも甲斐という国がどこにあって、武田氏がどういう素す性じょうの一族であるのか、全く知識を持ち合わせていなかった。「私の兄は、甲斐国の守し ゅ護ご・武た け田だ信しん玄げんと申します」「はあ」さくらは生返事をしたが、守護という役職が、武士の中でも相当高い地位であることは母の素性7