恋する幸村

恋する幸村 page 21/24

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心の中で舌を出した。「我が当主・武田氏は、越後の上杉、相さ が模みの北条、駿河の今川など、近隣の有力諸氏を相手に戦を繰り返しておる。真田一族は今後とも全力で武田氏にお仕えすること....

心の中で舌を出した。「我が当主・武田氏は、越後の上杉、相さ が模みの北条、駿河の今川など、近隣の有力諸氏を相手に戦を繰り返しておる。真田一族は今後とも全力で武田氏にお仕えすることになろう。苦労をかけると思うが、よろしくお願いしたい」「武家に嫁いだからには覚悟はできております」そう言い切ってから、さくらはこんなことを聞いてみた。「殿は、鉄砲はお使いにならないのですか?」彼女の心には、智丸との約束が深く刻まれていたのである。昌幸は、新婦の質問に意外そうな顔をしたが、「やがて、戦は鉄砲隊を主力とした総力戦になるだろうな」と答え、それから、「それがしは、今はまだ武田氏の一家臣だが、必ずや一国一城の主になってみせる」と遠くを見るような目をして言った。「まあ、頼もしい」さくらは、若い夫に心を込めた微笑みを投げかけた。その夜、さくらは初めて昌幸と寝所を共にした。だが、彼女はすでに生き娘むすめではなかった。智丸と何度か関係を持っていたのだ。さくらは、処女でないことを昌幸に知られたらどう母の素性21